Cazperのつれづれ日記: 財務諸表の先を読む

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2005年9月18日

panda01.gif 財務諸表の先を読む

最近、精神論とか書き過ぎて財務関係の事書いてないので、たまには書きまふ。

今日、とある製鉄関係の会社の財務諸表を見ていたのだけども、諸表だけでは何が未来に起き得るのかを見抜くことはできないので、 私的な将来の見通しと共にそうなった場合の財務諸表がどうなっていくのかを述べます。


製鉄会社のような製造業というのは、主に生産設備と倉庫(流通在庫含む)で成り立っています。

そこに突如、中国特需のような原因で生産増強を迫られたとします。この需要に対応するためには、生産力の増強と倉庫の拡大をしなければなりません。

しかし、製鉄関係の会社は過去の経験から特需だからといって生産力増強の為の設備投資はしない体制になっています。

そこで、会社は既存設備の稼働率の引き上げに尽力します。生産量が増えると、在庫も自然と増えてしまいます。そのため、新規の設備投資をしなくても運転資金は増えてしまいます。

ここで問題となるのは、運転資金が増えるということはキャッシュフローのマイナス要因になってしまう事です。

もちろん、キャッシュフローがマイナスになっても、実際に鋼材の売れる量も増えるので損益計算書(PL)上の利益は大きくプラスになります。

未だに多くの人々は損益計算書上の損益を重視しているので、利益が大きくプラスになると株を買う人が増えます。そのために、特需であろうとも株価は大きく上がりやすくなります。

もちろん、特需であろうとも利益があがると会社は配当を多く払おうとします。

しかし、これは明らかに間違えた運営手法です。

というのも、増えた運転資金分は鋼材の在庫となっているからです。この増えた運転資金分は大概一時的な借入金で賄われたりします。したがって、借入金が増えた分だけ余計にコストが掛かる状況になっているわけです。

この余計に増えた運転資金分は、最低限鋼材を売り払うことで賄わなって借入金を返済する事が増配するよりもやらなければならない事です。


また、在庫というのはやっかいな事を生み出します。特需が突然消えた事を考えて見て下さい。特需のために増やした在庫を 今度は減らさなければならなくなります。

そのためには、まず、生産設備の稼働率を減らさなければならなくなります。それと同時に、増えた在庫を減らす段階では需要減退により在庫の価値が減ってしまいます。(所謂 棚卸し評価損の発生)

その間にも運転資金を増やしたときに借り入れた資金の利息は払い続けなければなりません。

まとめますと、特需が終わった瞬間に
●稼働率の低下
●在庫の評価損
●借り入れた運転資金のコストは変わらず

という状況に突入するわけです。

稼働率を低下させれば固定費が重くのしかかります。在庫の価値が下がればキャッシュフローの改善が遅くなります。その状況下で借入金も返却しなければなりません。

このような状況になってしまったら、会社は一時的に莫大な特別損失を計上してしまう方が実態経済からみて正しいと思うのですが、これをやると一時的に株価を押し下げる要因になるので体力のある会社でもやろうとしません。そして、幾どの企業は在庫を一定期間をかけて償却していこうと試みてしまい、回復が遅れてしまいます。

短期の特需は、長期的な視点で見ると幾どの場合には100害あって1利も無いんですよ。もちろん、こうならないようにする事は出来るのですが。幾どの企業は歴史から学ぶ速度が遅いので同じ過ちを犯すでしょうね。

PS.後日私が見ていた財務諸表は、上記のシナリオとは若干別の様相である事が分かったりしてます(笑

投稿者 cazper : 2005年9月18日 20:14 | b_entry.gif
     

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