Cazperのつれづれ日記: コスト低減と価値付加する手段は別物

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2006年7月 3日

panda01.gif コスト低減と価値付加する手段は別物

今↓のバランススコアカードに関する本を読み終わる間際ではあるのですが…思うところがあるので書きます。


図解バランススコアカード
 安定成長の時代になると、これまでのような市場規模の拡大が期待できなくなり、業界に属する企業間で熾烈なマーケット・シェアの争奪戦が繰り広げられた。限られたパイの中で、競争優位性を構築するには、二つの策がある。
 1つは、コストリーダーシップを追求し、販売単価を抑えて低価格による競争優位を構築する方法である。もう1つは、製品やサービスの独自性を追及し、差別化による競争優位を構築する方法である。(p.75)
今の時代では、殆どの分野に置いてマーケットが広がらず、パイの食い合いをしなければなりません。

しかしながら、高度経済成長期を過ごしてきた人間の大部分は、パイの食い合い下で生き残る戦略を(自分の経験から)考える事が出来ません。何せ、彼らの生き抜いてきた時代は目の前の作業を愚直にこなす事が価値生産となっていたからです。(これはITバブルを生き抜いてきた人にも言えることなのですが…)

そうした人々がマネージャーとなってしまうと、「高機能で安くしろ」という号令を掛けはじめます。高機能で低価格のサービス・商品だったら誰でも欲しいと思います。しかしながら、大きな矛盾を含んでいる事に気づかなければなりません。

高機能にするという事は、高機能にしたことをユーザーに評価してもらって高く買ってもらったり、多くの人に買ってもらう効果を生みます。しかし、ユーザーが望まない高機能化をしても競争優位性を築くことが出来ません。そこで、マーケティングが欠かせなくなってきます。

一方、低価格にするという事は、低価格にすることで多くのユーザーに買ってもらう効果があります。しかし、低価格にした分以上に多くのユーザーに買ってもらわなければ利益を大きくすることができません。そこで、確実に利幅を大きくするために、製造ラインの見直しやオフショア開発等による原価低減を狙う事になります。

つまり、高付加価値の商品・サービスを作る手段と、製造コストを低減させるための手段は全く別物として考えなければなりません。


P.S.
高度経済成長を過ごしてきた人に対して批判的な事を書いてしまいましたが、このような間違った認識をもちやすい人は何も団塊の世代に限りません。ITバブルの時代を過ごしてきた若者も同じように間違えた認識を持ちやすかったりします。

IT業界の一部も、最初はパイが広がっていたので粗利益率も高い仕事であったのですが、次第に競争が激しくなったために粗利益率が低くなってしまい、利益額を守るために受注量を増やすようになりました。すると、単位時間当たりの仕事量が激増し、過酷な労働を強いられる事になりました。つまり、高付加価値産業だったものが労働集約的な産業になってしまったのです。

投稿者 cazper : 2006年7月 3日 07:31 | b_entry.gif
     

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