Cazperのつれづれ日記: 【悪の錬金術】ストックオプションのための自社株買い

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2006年8月31日

panda01.gif 【悪の錬金術】ストックオプションのための自社株買い

先日は、「企業価値と価格の関係」から自社株買いの是非を述べたわけですが、ストックオプションを付与された経営者が自社株買いを何故好むのかについて少々述べておきます。

ストックオプションは将来的に割引価格で株式を購入する権利です。権利を行使しなければオプションを付与された人は配当も議決権も貰う事は出来ません。

ここで、取締役に大きな割合のストックオプションが付与されたとします。そして、会社としても利益が増えてきて増配が可能なレベルに業績が良くなったとします。この場合、ストックオプションを保有している取締役は、増配をしても恩恵を受けません。オプションを保有していても配当は貰えませんから…。

また、ストックオプションを保有する取締役の多くは大株主として君臨しようとは考えません。株価が上がればオプションを行使し、すぐに株式を市場で売却して利益を得ようと考えるわけです。つまり、オプション行使可能な期間内に一時的にでも株価が吊り上れば(リスクフリーで)売り抜けようと考えます。この考え方は、長期保有しようと考える投資家とは利益相反する考え方になります。長期投資家は株価の一時的な吊り上りではなく、ビジネスの持続的な成長に投資しているわけですから。

増配することで株価は上がる可能性が高いですが、自らに付与されたストックオプションに直ぐに恩恵が得られないならば増配しても取締役には面白くありません。それよりは、自社株買いをした方が、絶対的な株数が減るので次期からの1株当りの利益率が上がるうえに、株数が減ることで株価のボラティリティーが上昇します。つまり、「株価」の値上がりの可能性を高める事が出来るのです。(株価が上がれば問題無いかと思うかもしれませんが、既存株主が本来受けるべき利益を犠牲にして、株価上昇の可能性を高めている事が問題なのです。あるべき取締役の行動は、「既存株主の利益を最大にするように、企業価値を高める事」です。)

新賢明なる投資家(下)(pp.373-380)
 ストックオプションで多額の報酬を得ている上級幹部には既得権があるため、配当よりも自社株買いを好んでいる。何故なのか?専門的には、株価が大きく変動すればオプションの価値が上がるからである。配当だと、株価のボラティリティ(変動性)が低くなる。要するに、もし経営者が増配をしようものなら、自分たちのストックオプションの価値も下がってしまうわけである。

(中略)

ストックオプションの付与が優れた業績---例えば、同じ業界の平均的な株式を少なくとも五年間はアウトパフォームするなど---の公正かつ永続的な尺度にならないようなプランには、すべて拒否権を行使すべきである。あなたにお粗末な成果しかもたらしてくれないCEOは、絶対に裕福になる資格はない。

投稿者 cazper : 2006年8月31日 07:15 | b_entry.gif
     

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