Cazperのつれづれ日記: 先物取引は市場を効率化させるが、暴走は無くせない

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2006年9月24日

panda01.gif 先物取引は市場を効率化させるが、暴走は無くせない

先日、天然ガス先物取引を行っていた大手ヘッジファンドが巨額の損失を計上して解散する事になりました。

巨額損失の米ヘッジファンド解体へ

 【ニューヨーク=松浦肇】巨額損失を計上した米ヘッジファンド、アマランス・アドバイザーズが事実上解体されることが明らかになった。関係者によると、米大手銀JPモルガン・チェースと米大手ヘッジファンドのシタデル・インベストメント・グループが21日までにアマランスの損失の原因となった天然ガス先物の運用資産を購入。残る資産も他の金融機関が買い取る方向だ。

 アマランスは天然ガス先物への投資に失敗、9月の第一週だけで50億ドル超の損失を計上した。(NIKKEI 2006/9/23)

これに対し、グリーンスパン元議長は次のように発言したようです。
グリーンスパン氏「ヘッジファンド市場に流動性」

 【ニューヨーク=藤田和明】グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長は21日、ニューヨークで講演し、中国とロシアの通貨政策のリスクを指摘した。一方で、中央銀行による市場介入は「長期的にみて効果は生まない」と日銀の介入を批判した。相次ぎ運用損が発覚したヘッジファンドについては「市場の流動性を高める存在」と擁護した。

(中略)

 米国ではヘッジファンドが天然ガス投資で失敗、多額の運用損を出したが、「ヘッジファンドのようなリスクを取る存在がいてこそ市場の流動性が増し、金融市場が効率化する」と語った。(NIKKEI 2006/9/22)


確かに、流動性が増すと離散的にしか生じない需要の隙間を先物取引が埋めてくれるので、金融市場が効率化し、値段の変動が小さくなり易くはなります。

 例えば、毎月豆が50個市場に供給されるとし、毎月コンスタントに50個をお客Aが買えば値段の変動は起きません。しかし、豆がある月には60個、次の月には50個、その次の月には40個供給されるとなると、お客Aが毎月50個買おうとしても最初の月には10個豆があまるので価格は下落し、次の月には価格が持ち直し、その次の月には10個足りないので値段が上昇します。
 しかし、実際には豆が必要でないお客Bが最初の月に10個買ってくれれば、60個の供給に対してお客A・お客Bと合わせた60個の需要が生まれるので価格が動きません。そして、次の次の月にお客Bが10個の豆の売り手に回れば市場に供給される豆が40個+10個となり、、お客Aは安定した価格で豆を仕入れることができるようになります。


しかし、金融市場が効率的である事は、適正な値付けが行われる事を意味するわけではありません。

今では、先物取引の方が現物取引よりも遥かに取引量が多くなっています。そのため、実際の商品の需給の関係で値が付くのではなく、金融市場の需給の関係だけで値が付く事が多くなっているのです。その証拠に新聞を読んでいると、「オイルマネーが株式市場から商品市場に流れ込んだ」とか「商品市場に流れていたマネーが債券市場にシフトしてる」とかいうニュースが目に付きます。

既に実際の商品の需給ギャップを埋める以上に先物取引が行われているのに、更に多くの投資家・投機家を先物取引に引きずり込もうとする取引業者があるのは悪としか思えません。

投稿者 cazper : 2006年9月24日 21:09 | b_entry.gif
     

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