Cazperのつれづれ日記: 技術立国なんてのを考えない方が良い時代になってきた

« 中国は既に成長の起爆剤を失ってる気がする。 | メイン | 政治家も投下資本利益率を考えなければならない »

2016年5月31日

panda01.gif 技術立国なんてのを考えない方が良い時代になってきた

前置きをすると、技術が大切ではないとも思わないのだけれども、最近の技術の流れを見ていると、顧客の必要とするレベルに対して技術が大幅に超えてしまい、技術開発コストをペイできない事業分野がどんどん増えている気がしてなりません。

パナソニック、9月末をめどにTV用液晶パネルの生産から撤退へというニュースが出るのも、製品のコモディティ化が進み、そこにどんだけの新たな開発をしていっても、顧客は高値で新製品を買ってくれない事態が進んでいる一つの証拠なのだと思います。

2000年頃からIT技術の発達等によって、理系教育が必要であるとの認識が高まってきております。確かに、理系教育は必須なのです、しかし、理系脳が国の発達を助けるかというと、必要条件ではあるものの、十分条件にはならないのです。

技術者が陥る罠は、目の前の製品の改良に凝りはじめ、その製品に対する顧客の要求レベルが高くないにもかかわらず、大きな開発投資を要求してどんどん開発を進めようとしてしまうことです。それによって、損失が生まれた例は幾らでも見つかります。例えば、デジカメ開発。カシオのQV-10が出た頃は30万画素で、画像は小さく、CCDの開発が重要でした。そので高画素化に開発投資が行われていったのです。しかし、高画素化すればするほど開発投資は大きくなる一方で、ある時点から顧客が高画素に対して高いお金を払わなくなりました。そこで、最終的には高画素CCD(or CMOS)をコンデジから一眼レフへ移行し、開発コストを続ける理由にしたのです。

今回のパナソニックの液晶パネル生産からの撤退も同様です。10年前の液晶パネルはまだまだ画素が粗く、顧客も画素の小型化・大容量化にお金を払う気がありました。しかし、ある程度、液晶パネルの画質があがると、顧客は画質が上がった所で、高いお金を払う事がなくなります。

最近では、新興国メーカも技術のキャッチアップのスピードが速く、新技術により良い製品を作ったとしても、同様の製品を1年未満で発売してきます。そうなると、技術開発コストを回収する前に製品単価が下がり、回収期間が伸び伸びになるという事態が発生してしまします。

確かに、医薬・バイオの分野では高度技術が多く、更に、特許・ノウハウで守られる分野も多いという現実と、薬という物自体が顧客を高いレベルで満足させられる物が少ないので、これからも長い期間、技術力こそがマーケットで勝つための必要十分条件になる事はありえるでしょう。

と、考えていくと、今叫ばれているように理系脳・技術立国といった方向性よりは、理系脳・技術という事はコモディティとして捉え(つまり、身につけていて当たり前)、+αの部分を強化していく必要があると思うわけです。チンケな言葉でいえば、イノベーション思考という事になるのでしょうが、そういう新しい発想が出てくる地盤と新しい発想が活かされる環境を整えていく事の方が理系脳を作る事に必死になるよりも必要だなぁと考える次第です。

投稿者 cazper : 2016年5月31日 19:16 | b_entry.gif
     

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.cazoo.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/3536

コメント