Cazperのつれづれ日記: M&A時代の投資戦略 その2

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2007年2月20日

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先日は「規模の経済」という視点からM&Aが生じ易い業界を絞り投資に値する企業を探していく事について書いたわけですが、今日は財務面からM&Aが起きやすい企業を見ていきます。

財務面からM&Aの起きやすい企業を探し出すのは比較的簡単です。何故ならば、相手の企業を買収した際に財務面でプラスに働くような企業を探せば良いからです。つまり、「株価 < 企業価値」である企業を探し出せば良いからです。

バリュー投資の手法に似ています。

企業価値を評価するに当り、注目すべきは次の二つです。
資産の価値:キャッシュ、土地、設備、在庫などといった、所有する資産の価値
事業価値:事業が生み出す将来キャッシュフローの現在価値の総和

バランスシート上では「資本 = 資産 - 負債」で表現されるわけで、「資産>時価総額」の状態であれば買収され易くなります。ただし注意しなければならないのは、負債は現金で返さなければならないのに、資産は必ずしも現金の形で存在していない事です。また、資産の中でも土地や在庫になってくると市場で売却するときに買い叩かれる可能性が高くなってきます。

例えば10年前のビデオデッキを在庫で保有している企業が倒産しても、誰もビデオデッキなんて買おうなんて思う人はいないわけです。つまり、企業が倒産する前はバランスシート上に資産と計上されていても、倒産してみたら「ただのゴミ」となる可能性だってあります。

ということは、資産の中身が出来るだけ現金性の高いものである一方で負債の割合が低い株価低迷企業は買収されやすい企業と言えるでしょう。
賢明なる投資家
ベンジャミングレアム↑もネットネット株と称してこのような状態の株式を買っていたみたいですし、一時期名を馳せた村上ファンドも比較的この手の企業に狙いをつけて株式を買い上げていました。


一方、企業価値を評価するには、資産面だけではなく利益面も評価する必要があります。損益計算表上の利益と言うのは企業にお金が入らなくても計上できる性質がありますので、真の利益を表しません。

バフェットは真の株主利益について次のように述べています。真の株主利益とは、営業キャッシュフローから、「その企業が長期にわたり競争力と生産高を維持するために必要な平均的な年間設備投資費用」を引いて、考えるべきである。(引用元:株初心者からのバリュー銘柄スクリーニング研究会)

つまり、事業価値は将来に渡る真の株主利益の現在価値の総和であるといえます。この手の話はビジネス書に書いてあります。…しかし、会社四季報を読めば分かると思うのですが、企業の利益というのは毎年揺らぎます。更に言えば、今年利益が出ていたとしても、来年には赤字になる企業も少なくありません。これでは、DCF法を利用して企業の現在価値予測の信頼性が損なわれます。

当然ながら、買収に動く企業やファンドは買収先の企業価値を評価する上で事業価値も推測しますので、事業価値の推測しやすい企業の方が推測しにくい企業よりも買収される可能性が高くなります。つまり、安定したキャッシュフローを稼ぎ出しているにも関わらず、株価が低迷している企業が買収されやすい企業という事になります。(食品企業と不動産デベロッパーを比べれば、食品企業の方が買収リスクが高いと予測されます。)


P.S.
先日はM&Aが起こる代表的な業界例として医薬・製薬を書きましたが、今思いつくだけでも医療検査受託、給食系はM&Aが起こるでしょう。ちなみに、私は○○(な行)業界もM&Aが起きるのではないかと考えています。(今中国の成長で延びている船舶業界も需要が一巡すれば、M&Aが起きるような気がしますね。)

投稿者 cazper : 2007年2月20日 06:41 | b_entry.gif
     

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